↓こちらの報告書3番の改良版です。
極低温業務便利グッズ4種の紹介(技術研究会報告集データベース)
https://techsv.ims.ac.jp/cid/AA2021A04M007
概要
液体ヘリウムをトランスファーする際、トランスファーチューブを予冷する間に放出してしまうヘリウムガスの損失を抑えるために回収配管に流すための装置。
- 非磁性なので、NMRなどマグネット付近で使えます。
- 予冷中にトランスファーチューブ先端に霜が付きにくくなります。
画像:
部品
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ダイナミックシール
トランスファーチューブの外径に合わせて作製
テフロンでもデルリンでも可、内側のOリングは無しでOK(内側の溝も切らなくてよい)
ダイナミックシール -
アクリルパイプ
凍結しても割れにくく丈夫で、予冷の様子が見えます。
写真で使っているものは 外径18mm / 厚さ 2mm -
逆止弁(樹脂製)
~ 2kPa の微圧で動作(ヘリウム回収配管の圧力に合わせて選定&調整)
内部の小さいばねのみ鉄製です。
樹脂製逆止弁 ポリプロピレン製 PP型 | チェックバルブのことなら大阪の山本産業株式会社 -
継手(樹脂製)
逆止弁へのねじ込みはシールテープを巻いてあります。 -
シリコンチューブ
ダイナミックシールや回収配管との接続用
報告集から改良した部分
トランスファーチューブから液体ヘリウムが出るくらいまでキンキンに予冷する場合、予冷完了後にダイナミックシールから引き抜く際にOリングが凍って抜けなくなってしまうことがありました。
(Oリングが凍る前に一気に引き抜く必要があり、コツが要る)
そのため、ダイナミックシールのOリングは使用しないのがおすすめです。
ヘリウムガスはシールから少し大気放出されますが、トランスファーチューブの持ち手が冷たくなるほどの量ではなく、先端を深く差せばガスの吹き出しの勢いでほぼ回収ラインに流れます。
Oリングが凍って作業中断してしまうよりずっと良いと思います。
写真
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NMR
予冷完了したら一度容器の圧力を抜き、回収器から引き抜いて貯槽に差し込み。
マグネット貯槽のキャップはあらかじめトランスファーチューブに取り付け、作業中に落ちないよう樹脂製クリップで固定しています。
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SQUID MPMS-3
強い予冷は必要なく、Oリングが凍結しないので通常のOリング入りダイナミックシールを使用してガス回収しています。
毎週、充填作業があるので装置の隣に常時設置(1人で作業可)